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2025.8.15
目次
ベンチャー・スタートアップの採用には、大手・中堅企業とは異なる特有の難しさがあります。
リソースやブランド力の不足で採用計画の達成が難しいというのが最もイメージしやすいところですが、「採用計画づくりの難易度が高い」「採用しても定着しにくい」という難しさも忘れてはなりません。
この記事では、ベンチャー・スタートアップ採用特有の難しさと対処法を整理します。
ベンチャー・スタートアップは目まぐるしく状況が変わるため、半年後・1年後の事業状況や組織の形が読みづらく、採用計画を立てづらいです。
「計画を立てる」こと自体が、難度の高い仕事になります。
計画が立てられても、次に立ちはだかるのが「達成のしづらさ」です。ベンチャー・スタートアップの採用計画達成には、多くの障壁があります。
スタートアップは知名度が低く、求職者が自ら選択肢として想起する可能性が低いことはもちろん、求人やスカウトで認知した後も「聞いたことがある企業」に比べ不利になりやすいです。
スタートアップにはポジティブなイメージもある一方、激務になりやすい、経営が不安定そう、制度や育成が整っていなさそうといったネガティブなイメージもあります。
その結果、少しでも不安が残ると、応募されなかったり、選考途中の離脱や内定辞退が生じたりしやすくなります。
求人広告、紹介手数料、採用広報など、採用活動には当然費用がかかります。
資金余力が乏しい状態では、打てる手が狭まり、速攻性が高い手法ほど手が出づらくなります。
また、候補者に提示できる条件(給与・福利厚生など)も資金力のある企業には負けやすく、不利になります。
知名度、イメージ、資金の不利を覆すためには、スタートアップこそ戦略づくりや実行に時間を割きたいところです。
しかもスタートアップは変化が速いため、要件を随時アップデートしながら運用する必要があり、むしろリソースが必要になります。
さらに、採用はスピードと密度の濃いコミュニケーションが重要です。返信の遅れ、間隔の空いた面接日程、選考結果連絡の遅さ、情報提供の不足、内定後フォローの弱さが、辞退に直結します。
しかし、スタートアップでは直接売上を生み出さない採用担当を専任で置くことはできず、経営層や現場が兼任するケースが大半です。
その結果、打ち手不足・スピード不足で採用が進まないことが多くあります。
スタートアップは少人数で幅広い業務を質高く推進する必要があるため、「即戦力が欲しい」「あれもこれもできてほしい」と採用要件が上がりがちです。
求人条件として明記すれば応募は入らず、選考での不合格も増えることになります。
ここまでの壁を乗り越えても、定着の問題があります。
定着は、採用後の環境・体験が影響するのはもちろんのこと、採用時点のミスマッチや期待値ズレも大きな要素です。
ここでは「採用の難しさ」として、後者について触れます。
スタートアップでは、採用したサンプル自体が少ないこともあり、本当にカルチャーマッチし業務適正のある人材が分かっていないケースが多いです。
また、そのような人物を見極める面接やテストも見極められていないことが多くあります。
先程述べたように、スタートアップは採用要件を厳しくしやすい一方、採用が進まず、いよいよ事業上の影響が見え始めると、「この人でいいか」と妥協もしやすくなります。
その結果、業務・カルチャーの両面でミスマッチが増え、定着しづらくなります。
採用計画を達成することが難しい故に、不利を覆すため自社の実態や展望を美化して伝えてしまうケースがあります。
その結果、業務・カルチャー面とマッチしていても早期離職につながってしまいます。
ここからは、これまで触れてきたスタートアップ採用の難しさへの対処法をまとめます。
限られた資金・工数で事業計画の達成につながる採用成果を出すには、まず採用計画が欠かせません。
ただし、計画づくりに時間を使い切ってしまうと、肝心の採用活動が前に進みません。
変化が速いスタートアップほど、最初から完璧を目指すより、走りながら見直せる計画を置く方が機能します。
採用計画づくりには一定の型があります。型に沿って最小限の労力で作り、定期的に更新をかけていきましょう。
採用計画の作り方の詳細は、別の記事を参照ください。
スタートアップでは、要件を狭めすぎると採用数が不足する一方、ゆるすぎては選考のリソースがかさみます。
「必須要件」「歓迎要件」を設定している企業は多いと思いますが、「その要件は本当に必須なのか?」をシビアに見直すことをおすすめします。
加えて、客観的事実(経験・スキル) と 人物像(価値観・人間性) を明確に区別し、求人に記載する条件や書類選考でのスクリーニング事項は前者に絞るようにすると、書類での過度な足切りを減らしつつ、採用の精度も上げやすくなります。
また、採用要件とは少し異なりますが、雇用形態・採用人数(要員計画)も見直し得るポイントです。1人の正社員に全てを求めるのではなく、業務委託、インターン、アルバイトも含め、今の自社が現実的に採用できる人材を組み合わせて業務を回すことも1つの選択肢です。
採用要件や要員計画の考え方の詳細は、別の記事を参照ください。
HP、SNS、note等で自社に関わる情報を発信することで、認知度向上や”負のイメージ”の払拭(逆にポジティブなイメージの強調)を図ることが有効です。
認知度は容易には上がりませんが、「1度名前を聞いたことがある」か否かでも、印象は大きく変わります。
過去に発信した情報を求人票やスカウト文に添えたり、面接前に案内したりすれば、以下のような効果も見込みます。
以下のような内容を積極的に発信していきましょう。
HP、SNS、note等での情報発信は、低予算で始められます。
工数こそかかるものの、継続的に効果を生み続けるため、取り組んでおきたい施策です。
採用広報の詳細は、別の記事を参照ください。
認知度不足のスタートアップでは、求人を出して待っていても、PVや応募は入ってきづらいです。
スカウト、ソーシャルリクルーティング、リファラル、人材紹介などを組み合わせ、能動的に接点を作りに行く活動が必要です。
各採用手法の詳細は、別の記事を参照ください。
スタートアップはトータルのリソースは少ない一方、大量採用を行う大企業に比べると、特に「この人は」と思った候補者には手厚くリソースを割く判断ができる柔軟性があります。
日程調整・返信・合否連絡などのスピードを極限まで高めるとともに、現場面談、オフィス見学、相互理解のための対話設計など、候補者が納得して意思決定できる体験をつくることが重要です。
当然のことですが、資金・工数の制約がある以上、闇雲に手を広げるわけには行きません。
採用手法・媒体ごとの特徴を知っておくことが当然必要になります。
また、「媒体費を抑える」「工数を抑える」「早く採用する」など、自社の状況を踏まえて何を優先するかによっても、選ぶべき手法は異なります。
採用手法の知識と現状の正確な把握が不可欠です。
採用手法ごとの特徴は、別の記事を参照ください。
スタートアップには負のイメージもある一方、経営者のコミットさえあれば、経営者自身が候補者やエージェントと接点を持ちやすいことは強みになります。
面談・面接はもちろん、スカウト文やエージェントとの打ち合わせでも、経営者自身が想いを乗せたメッセージを発信することで、自社の魅力を最大限に伝えることができます。
また、経営者自身がリファラル採用を推進することで、会社全体の巻き込みにも繋がります。
ミスマッチの原因は「見極め不足」だけではなく、「情報が出ていない/良い面しか伝えていない」ことでも起きます。
候補者が納得して意思決定できるよう、期待する役割・大変な点も含めて、ストレートに伝えることが重要です。