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2026.1.20
目次
採用手法・媒体選び方で大切なことは、どの企業でも上手くいく絶対的な採用手法・採用媒体というものはないという前提に立ち、「自社の採用課題・目的・制約に対して、どの手法が最も再現性高く機能するか」という視点を持つことです。
一見すると自社に似た企業、似たポジションでも、ちょっとした企業フェーズ、企業カルチャーや職務内容の違いで認知度や表面的な魅力度が変わる他、見えない部分でかけられるリソースと運用が異なるため、同じ手法・媒体でも同様の結果が出ないことが往々にしてあります。特に、自社の一歩先を行く企業を模倣して上手くいかないケースがこれに当たります。
また、スタートアップでは知名度が低いケースが多いため、大手企業やメガベンチャー・有名ベンチャーのように、求人を出して「待つ」だけでは応募が集まりにくい傾向があります。そのため、企業側から能動的にアプローチする手法(スカウト、SNS、リファラルなど)や、相互理解を深める場(カジュアル面談など)が効きやすくなります。
この記事では、「媒体を比較する前にやるべきこと」から「運用して成果を出すまで」の流れをまとめます。
媒体を選ぶ前に、まず●を整理しましょう。ここを飛ばすと、「なんとなく有名だから」「他社が使っているから」という理由で選んでしまい、結果が出ないまま時間とコストを浪費することになりかねません。
整理すべき項目は大きく●つあります。
ターゲット・ペルソナ設計の詳しい考え方は別記事に譲り、ここでは採用手法選びとの関係を中心にまとめます。
| 観点 | 採用手法・媒体選びとの関係 |
|---|---|
| デモグラ(年齢・性別等) | 求人媒体によって登録者のデモグラフィーが異なる(ミドルの転職、Re就活、女性の転職typeなど) |
| レイヤー・年収帯 | ハイクラス層に特化した媒体や、逆に年収など条件面を押し出さない媒体がある |
| 職種・経験 | 営業経験なら「対法人か対個人か」など、経験の種類まで掘り下げる |
| 資格の有無 | 稀有な資格かどうかで、媒体選定やスカウト機能の重要度が変わる |
| 志向性 | キャリアアップ志向かキャリアチェンジ志向かなど |
また、企業の規模やフェーズによって「活躍できる人材」の定義は変わります。
たとえば、社員10人未満のスタートアップなら「1人でプログラムを組めるスキルがある」「業務量が多くてもスピード感を持って期限内に終わらせられる」といった要素が重要になります。一方、数十人規模になると「リスクマネジメントに長けている」「複数部署間の架け橋になれるコミュニケーション力」といった要素が求められるようになります。
ペルソナ設計が難しいときは、以下のアプローチも有効です:
社内で共通のペルソナを共有することで、採用担当者と事業部の認識相違を減らせるメリットもあります。
採用したい職種の難易度を把握しておくことも重要です。
採用難易度が高い職種であれば、求人を掲載するだけでは足りません。 スカウト機能を積極的に使う前提で、どの程度のスカウト機能が必要かを見積もっておきましょう。
スカウト機能は媒体によって操作性が異なります。採用難易度が高い職種を募集するなら、スカウト機能の使いやすさも媒体選定の重要なポイントになります。
求人媒体によって、採用担当者が関わる範囲は大きく変わります。自分たちのリソースで回せるかどうかを事前に整理しておきましょう。
採用難易度が高い職種ほど、スカウトやダイレクトリクルーティングの活用が必須になります。
スカウトを使うということは、以下のような作業が発生するということです:
これらの工数を見積もったうえで、回せる体制があるかどうかを確認しましょう。
求人広告は「掲載したら終わり」ではありません。
求人広告に掲載しただけでは効果が出ないケースも多くあります。 求人媒体によっては原稿修正が可能なものもあり、まだ「勝ちパターン」を見つけていない職種の採用では、原稿を修正しながら改善していく運用が必要になります。
運用に工数をかけられるかどうかも、媒体選定の判断材料になります。
「急ぎで補充が必要な採用なのか」「数か月かけて採用するのか」によって、選ぶべき媒体や手法は変わります。
たとえば、取材・原稿作成に力を入れている求人広告は、推敲を重ねた原稿を作成してくれますが、その分時間がかかります。急ぎで人材が必要な場合は、この点が媒体選定に影響します。
採用の目的によっても、選ぶ媒体・進め方は変わります。
たとえば、将来的に経営陣クラスの人材を確保したいと考えている場合には、ハイクラス人材が多く登録しているスカウト媒体を選び、継続的なアプローチでターゲットとの関係構築を進めるのも一つの方法です。
求人媒体を選ぶ前に、採用職種について以下の点を確認しておきましょう。
職種コードがあるか
職種コードとは、求職者が転職サイト内で求人を検索したときにヒットさせるための設定です。求人媒体によって職種コードの種類が異なります。採用したい職種のコードがあるのか、どの職種コードで掲載するのかを事前に確認しましょう。
何職種掲載するか
求人媒体によっては、「1職種で○○円、2職種で○○円」など、掲載職種数と価格が大きく異なります。何職種募集するのか、またいくら予算をかけるのかをセットで整理し、それに合った媒体を選ぶ必要があります。
予算と掲載期間
予算をつぎ込んで短期間で大量に採用したいのか、長い時間をかけてマッチする人材を吟味したいのか。予算と広告を掲載できる期間によっても、適切な求人媒体は異なります。
どのくらいのコストを投下できて、どのような人材をどれくらいの期間で確保するのか、事業部と採用スケジュールの目線合わせをしておきましょう。
コスト・採用人数など、重視するポイントによって適切な求人媒体は異なります。
| 重視するポイント | 適した選択肢の例 |
|---|---|
| 低コストを重視したい | 1プランで複数職種を掲載できる媒体 |
| コストをかけてでも効果を重視したい | 1職種1プランでしっかり掲載 |
今回の採用での優先順位を整理してから、求人媒体を選びましょう。
前提が整理できたら、次は自社の課題や目的に合った「採用チャネル(手法)の型」を選びます。
採用チャネルは大きく「求人媒体」「エージェント」「その他(リファラル/SNS/イベント等)」の3カテゴリに分けられます。
求人媒体は、さらに以下のように分類できます。
| 種類 | 特徴 | 具体例 |
|---|---|---|
| 広告型 | 掲載期間を決めて募集文を作成し広告掲載 | doda など |
| 運用型 | 企業側が募集文の作成・更新を回す(クリック課金型もあり) | Wantedly、Green など |
| スカウト型 | データベースから探して個別にアプローチ | ビズリーチ、LinkedIn など |
| 求人誌 | 紙媒体での募集 | – |
エージェントは、自社の求める人材とマッチングしてくれるサービスです。
採用活動のうち、母集団形成の工数をかけずとも採用につなげられるため、自社に採用経験が少なくノウハウがない場合には、採用までの業務を効率化する手段として機能しやすいです。
社員の紹介によるリファラル採用、SNSを活用した採用、イベントでの接点づくりなど、求人媒体やエージェント以外の手法もあります。
スタートアップならではの特性を踏まえると、以下の手法が効きやすい傾向があります。
企業が求職者へ直接アプローチする手法です。
メリット:
採用担当者が主体的に候補者を見つけてスカウトするため、必要なスキルや経験を持つ人材と効率的に出会えます。
メリット:
自社の人的リソースが不足している場合に有効です。
自社社員の人脈を活用し、社員の知り合いを候補者として紹介してもらう手法です。
メリット:
短期間で多くの候補者を集めることは難しいですが、転職潜在層にもアプローチできます。
X(Twitter)、Instagram、FacebookなどのSNSを活用した採用手法です。
メリット:
求人媒体ごとに、複数職種掲載の可否、掲載期間、原稿作成サポートの有無など、特徴が異なります。自社の状況に合わせて選びましょう。
正社員採用だけでなく、フリーランスや副業人材を活用する選択肢もあります。
メリット:
企業の掲げるミッションや価値観への「共感」を通じてマッチングするプラットフォームです。
リファラル採用・スカウト採用に強みを持つビジネスSNSです。
主にIT/Web業界・ベンチャー企業に利用されている求人媒体です。
ハイクラス人材の採用に適したプラットフォームです。
エンジニア採用に特化した媒体です。
スタートアップ特化型のエージェントです。
| エージェント | 特徴 |
|---|---|
| レバテック | エンジニアとデザイナーの採用に特化 |
| ワークポート | 全国の多種多様なネットワークが持ち味 |
国内最大級のフリーランスマッチングサービスです。
| サービス | 特徴 |
|---|---|
| ITプロパートナーズ | 迅速かつ丁寧な対応に定評あり |
| Crowdtech | 最短3日で即戦力と契約可能 |
転職を視野に入れているものの、積極的な転職活動をおこなっていない「転職潜在層」には、スカウトメールやSNSなどを使って企業側からアプローチすることが有効です。
ダイレクトリクルーティングは、採用担当者が主体的に候補者を見つけてスカウトする手法なので、自社の知名度に左右されず、転職市場に積極的に出ていない層にも届きやすくなります。
Wantedlyは「共感でつながる」ことをコンセプトとしており、給与や待遇ではなく、企業のビジョン・ストーリーで人材を惹きつける手法が取れます。カルチャーフィットを重視した採用に向いています。
また、カジュアル面談を通じて候補者との相互理解を深めることも有効です。企業の雰囲気や文化を伝えつつ、求職者が抱える疑問や不安に寄り添う機会を設けることで、志望度の向上が期待できます。
ビズリーチはハイクラス人材の採用に適しており、企業側が能動的にアプローチできます。
for StartupsはCxOや経営幹部、事業責任者クラスを中心に紹介するエージェントで、シード〜シリーズCの支援実績が豊富です。
競争が激しい職種や専門性が高い役職では、スカウト型の媒体が有効です。
LAPRAS ScoutはGitHub、Qiita、X(Twitter)などの情報を独自AIが解析し、スキルの高いエンジニアに直接アプローチできます。自社に合う技術領域の候補者にピンポイントで接触可能です。
YOUTRUSTは副業・業務委託人材ともつながれるプラットフォームです。いきなり採用ではなく「ゆるくつながる」ことが可能で、採用だけでなく副業活用もできる柔軟性があります。
フリーランスマッチングサービスを活用し、業務委託から始めて相性を見てから正社員採用に切り替える、という進め方もあります。
サービス選定の際は「採用コスト・スピード・ミスマッチ率の低減につながるか」という観点を持ちましょう。
求人媒体でも運用型やクリック課金型など、費用構造の違いを理解して選ぶことが大切です。
リファラル採用の強化も有効な選択肢です。リファラルを成功させるには、インナーブランディング(経営理念やビジョンを明確にして、社員が自社で働くことに誇りを持てる状態を作ること)が重要です。既存社員が自社の理念や事業に高い価値と誇りを感じていれば、リファラル採用が成功しやすくなります。
優秀な人材の確保・採用には、人事担当だけでなく経営陣全体で取り組むことが重要です。
媒体や手法を選んだら、次は「運用」です。同じ媒体を使っても、運用の仕方で結果は大きく変わります。
どの求人広告を利用するとしても、原稿は重要です。原稿を作成する際は、以下の点を整理しましょう。
| 整理すべき項目 | 内容 |
|---|---|
| 求職者の求める価値 | ロールモデルからのヒアリングを参考に、どんな訴求が響くかを探る |
| ターゲットの性別 | 原稿内で使用する画像や、アピールする福利厚生などに影響する |
| 採用難易度 | 必須条件や応募資格に関わる。社内の教育体制を踏まえて原稿を作成 |
| 自社の強み | 業務内容・社内環境・待遇・社名など、どこに魅力やカラーがあるか整理する |
| 志向性 | ワークライフバランスや働き方などを整理し、キャリアステップ像に活かす |
また、待遇をできるだけ具体的に明記して、求職者が安心して応募できる状態を作ることも大切です。スタートアップは労働条件にマイナスイメージを持たれがちなので、具体的な待遇を示すことで不安を払拭しましょう。
スカウトメールで重要なのは、「あなたに向けて書かれた特別なメール」と感じてもらうことです。
テンプレートをそのまま送っただけでは、他社のスカウトメールに埋もれてしまいます。候補者のプロフィールを見て、なぜその人に声をかけたのかが伝わる文面を作りましょう。
また、スカウトの効果を最大化するためには、スカウトメールだけでなく、募集文・求人票・会社情報の見直しもセットで行うことが大切です。スカウトを受け取った候補者は、会社の情報を見に来ます。そこで魅力が伝わらなければ、返信にはつながりません。
優秀な人材を採用するためには、書類選考や面接結果の通知などのレスポンスを早くすることが重要です。
スキルの高い優秀な人材は、他の企業も欲しい人材です。競合他社に取られないように、優秀な人材の確保は早く進めましょう。
また、選考プロセス自体を工夫する余地もあります。独自の採用方法を取り入れる企業もあり、自社が求める人材を採用するためのベストな方法を考えることが大切です。
採用活動は「やりっぱなし」ではなく、改善を重ねて資産化していくことが重要です。
求人媒体によっては原稿修正が可能なものがあります。
まだ「勝ちパターン」を見つけていない職種の採用では、原稿を修正しながら、どんな訴求が応募につながるかを探っていく運用が必要です。
応募数や応募者の質を見ながら、原稿を改善していきましょう。一度見つけた勝ちパターンは、次回以降の採用でも活用できる資産になります。
今回の募集で採用に至らなかった優秀な人材がいるときは、次回の募集で採用できる可能性があります。
たとえ他社に採用された人材でも、転職する可能性はあります。優秀な人材の連絡先を確保しておき、いつでもスカウティングできる体制を整えておきましょう。
企業側で急に人材が必要になったときにも、候補者プールがあれば素早くアプローチできます。
採用手法選びは「どの媒体がいいか」から始めるのではなく、まず自社の状況を整理することが大切です。
4つのステップの振り返り:
特にスタートアップでは、知名度がまだ低いケースが多いため、「待ち」ではなく「能動的にアプローチする」手法が効きやすい傾向があります。
自社の状況に合った手法を選び、運用で磨き込んでいくことで、採用の成功確率を高めていきましょう。