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採用戦略とは?立案手順と採用要件、KPIの作り方と注意点を徹底解説

採用戦略とは?立案手順と採用要件、KPIの作り方と注意点を徹底解説

採用戦略とは?立案手順と採用要件、KPIの作り方と注意点を徹底解説

採用活動がうまくいかない企業の多くは、場当たり的に求人を出して応募を待つだけになっています。事業計画と採用が連動せず、必要な人材が採れないまま現場が疲弊するケースは珍しくありません。本記事では、採用戦略の定義から立案手順、採用要件の言語化、KPI設計まで実務で使える流れを解説します。スタートアップや中小企業の人事担当者が、経営陣や現場を巻き込みながら採用の上流設計を進めるための具体的なステップとチェックポイントを紹介します。

採用戦略とは何かを押さえる

採用戦略の定義と求められる背景

採用戦略とは、事業計画を達成するために「誰を・いつまでに・どう採るか」を決める設計図のことを指します。単なる求人票の作成や面接日程の調整ではなく、経営目標から逆算して必要な人材要件・採用目標・選考プロセス・訴求メッセージを体系的に設計する活動です。

この戦略が求められる背景には、労働市場の変化があります。少子高齢化による労働人口の減少、転職市場の活性化、リモートワークの普及により、候補者の選択肢は広がり続けているためです。厚生労働省の「労働経済分析レポート」等でも示されている通り、特にIT・エンジニア職種では慢性的な売り手市場が続いています。

具体例:失敗するパターン あるSaaS系スタートアップ(社員30名)では、創業メンバーが「とりあえずエンジニアを増やそう」と求人媒体に掲載したものの、3カ月で応募ゼロという結果に。原因は事業フェーズに対して求めるスキルが曖昧で、給与レンジも市場相場とずれていたことでした。戦略なき採用は、コストと時間だけが消費されてしまいます。

採用戦略が機能する条件

  • 経営層と現場が合意した採用目的が存在している
  • 組織課題(スキル不足・マネジメント層の空白など)が言語化されている
  • 採用予算と期限が明確になっている

採用計画・採用手法との違い

採用戦略と混同されやすい用語に「採用計画」「採用手法」があります。それぞれの役割を整理しておきましょう。

用語意味
採用戦略何のために誰をどう採るかの設計事業拡大のため、新規事業担当PMを3名採用する
採用計画採用目標を数値・期限で具体化したものQ2までにエンジニア2名、営業1名を採用
採用手法候補者にリーチする具体的な手段ダイレクトリクルーティング、リファラル採用

よくある誤解 「採用手法さえ増やせば採れる」と考え、複数の求人媒体に同時掲載するケースがあります。しかし戦略が不在のまま手法だけ増やすと、応募者の質がバラバラになり選考工数だけが増えてしまいがちです。まず戦略で「誰を採るか」を定め、それに適した手法を選ぶ順序が重要になります。

チェックポイント

  • [ ] 採用戦略(Who/Why/How)が1枚の資料にまとまっているか
  • [ ] 採用計画に具体的な人数・職種・期限が記載されているか
  • [ ] 採用手法が戦略に基づいて選定されているか

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採用戦略の前提を整理する

事業計画と組織課題から採用目的を定める

採用戦略の起点は事業計画にあります。売上目標・新規事業の立ち上げ・サービス拡大など、経営が描く成長シナリオに対して「どんな人材が何人必要か」を逆算する作業が採用目的の策定です。

手順1:事業計画の確認 経営層や事業責任者に、今期〜来期の事業目標と組織体制の変更予定をヒアリングします。以下の項目を具体的に聞き出しましょう。

  • 売上・利益目標の達成に必要なプロジェクト数
  • 新規事業やプロダクト開発のスケジュール
  • 現在のボトルネック(営業不足・開発遅延など)

手順2:組織課題の洗い出し 事業計画と現状のギャップを整理します。例えば「営業目標が前年比150%だが、現状の営業人員では対応できない」「プロダクト開発が遅れており、バックエンドエンジニアが2名不足している」といった具合です。

具体例:組織課題の可視化 あるEC事業会社(社員80名)では、マーケティング部門の課題として「広告運用の内製化」が挙がりました。現状は代理店に依存しており、PDCAが遅いという問題があったのです。そのため「運用型広告の実務経験3年以上のマーケター2名」を採用目的に設定しました。

採用目的の言語化テンプレート > 【目的】 〇〇の達成 > 【背景】 現状は△△で、□□が課題 > 【採用で解決すること】 ××のスキルを持つ人材を◯名採用し、■■を実現する

採用ターゲットと採用要件を言語化する

採用目的が決まったら、次は「どんな人材を採るか」を具体化します。採用ターゲット(ペルソナ)と採用要件(スキル・経験・志向性)の2軸で整理していきましょう。

採用ターゲット(ペルソナ)の作り方

  • 年齢・経験年数:例)25〜32歳、事業会社での営業経験3年以上
  • 現職・業界:例)SaaS企業の営業、IT業界経験者
  • 志向性・価値観:例)裁量を持って働きたい、成長企業で挑戦したい

採用要件の3分類

  1. Must要件:必須スキル・経験(ないと業務遂行が困難)
  2. Want要件:あると望ましいスキル(選考で加点)
  3. Negative要件:避けたい条件(例:短期離職の繰り返し)

要件言語化のチェックリスト

  • [ ] Must要件が3〜5項目に絞られているか
  • [ ] 現場責任者と要件をすり合わせたか
  • [ ] 要件が抽象的すぎず、選考で判断可能な内容か
  • [ ] 市場にその要件を満たす人材が存在するか(要検証)

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採用戦略を立案する流れ

要員計画と採用目標を数値で置く

採用戦略を実行に移すため、要員計画(人員配置の設計)と採用目標(具体的な人数・時期)を数値で設定します。

要員計画の立て方

  1. 現状の組織図を作成:部門別・役職別の人員数を可視化
  2. 事業計画から必要人員を逆算:例)新規事業で営業3名・エンジニア5名が必要
  3. 退職・異動を見込む:過去の離職率から退職者数を予測

採用目標の数値化 要員計画をもとに、採用目標を「いつまでに・誰を・何人」で明記します。

数値目標のテンプレート

  • 【Q1目標】 エンジニア3名内定(4月入社)
  • 【Q2目標】 営業2名内定(7月入社)
  • 【年間目標】 合計10名採用、離職率5%以内

選考プロセスとスケジュールを設計する

採用目標が決まったら、候補者がどう選考を進むかのフロー(選考プロセス)と、各工程の期限(スケジュール)を設計します。

選考プロセスの基本構成

  1. 書類選考:応募書類でスクリーニング
  2. 一次面接:採用担当または現場責任者が実施
  3. 二次面接:経営層や部門長が実施
  4. 最終面接:代表や役員が実施
  5. オファー面談:条件提示と入社意思の確認

選考プロセス設計チェックリスト

  • [ ] 各面接の目的と評価項目が明確か
  • [ ] 面接官のアサインと日程調整ルールが決まっているか
  • [ ] 応募から内定までの期間が1カ月以内に収まるか
  • [ ] 選考辞退を防ぐコミュニケーション設計があるか

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チャネル設計と採用マーケティング

チャネル選定の考え方と訴求メッセージ

採用チャネルは、採用ターゲットがどこにいるかを踏まえて選定します。

主要チャネルと特徴

  • 求人媒体:幅広い層にリーチ、応募数は多いが質にバラつき
  • ダイレクトリクルーティング:スカウト型、ターゲットを絞れるが工数がかかる
  • リファラル採用:社員紹介、マッチ度高いが母集団形成に限界
  • SNS・Wantedly:企業文化を伝えやすい、カジュアル面談から始められる
  • 人材紹介(エージェント):採用工数を削減、成功報酬で費用が高い

競合・市場・自社を整理するフレームワーク(3Cなど)

採用市場でも競合分析が重要になります。3C分析を採用に応用し、自社の採用競争力を整理しましょう。

  1. Customer(候補者):ターゲット人材が何を求めているか
  2. Competitor(競合):同じ人材を狙う企業の採用条件・訴求内容
  3. Company(自社):自社が提供できる価値・弱み

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KPI運用と改善で成果を出す

採用KGI/KPIツリーの作り方と指標例

採用戦略を実行した後、成果を測定し改善するためにKGI(最終目標指標)とKPI(プロセス指標)を設定します。

KPIツリーの分解例

  • 【KGI】 年間10名採用

* 応募数:200名(内定承諾率5%と仮定) * 書類通過率:40%(80名が一次面接へ) * 一次面接通過率:50%(40名が二次面接へ) * 最終面接通過率:50%(20名が内定) * 内定承諾率:50%(10名が入社)

主要KPI指標一覧

  • 母集団形成:応募数・スカウト送信数・返信率
  • 選考プロセス:書類通過率・面接通過率・選考辞退率
  • 採用成果:内定数・内定承諾率・採用単価
  • 定着:試用期間中の離職率・入社後3カ月の定着率

まとめ

採用戦略は、事業計画から逆算して「誰を・いつまでに・どう採るか」を設計する活動です。採用目的の言語化、採用要件の具体化、選考プロセスの設計、チャネル選定、KPI運用という一連の流れを体系的に進めることで、場当たり的な採用を脱却できます。重要なのは、経営層・現場・採用担当が合意形成しながら進めること、そして実行後のデータをもとに継続的に改善を回すことです。